大巨人史
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最新回 第7回 第6回 

第8回

作者:長井正広

この戦後の混乱期にどういう人生を姫子とともにたどっていたのか、幅はまるで語ろうとしない。山鯛組の後継を名乗り、関西で勢力を張っていた大和邦興行に身を寄せていた時期もあったといわれているが、「はるかなり、幅」ですら筆を止め、一気に幅がプロレス界入りを果たした後の時代へと進めている。

幅が過酷な青春期を送っていたであろうことは想像に難くない。しかしだからこそ、幅は「物語」を「運命」にまで昇華できるのである。

猥雑な時代の中で、幅自身が意識しなくても、深く静かに、純粋な格闘精神を培っていた。それは、龍が水底に潜みながら天に昇る機会をうかがう姿に、また天高く悠々と泳ぐ鳳凰がまだ幼い雛にとどまっている姿に似ていた。

結局は、プロレスすら知らなかった頃の姿を明らかにするのは、幅の格闘家としてのプライドが許さないのだろう。われわれが幅の青春時代の格闘精神の軌跡を知るには、幅将兵著「自由への迷走」、「存在するための時間」、「青春にいたる病」の、いわゆる幅将兵プロレス学三部作しかないのである。

そしてわれわれは、幅将兵のプロレス史への登場に、日本プロレス史上初の統一組織である大日本プロレスの揺籃期までの十数年の歳月を待たなければならない。

皇帝、と呼ばれた一人の天才格闘家が日本プロレス史の幕を、その類稀なる拳でこじ開ける……。


「閑話休題」

次回より、ようやくついに本編に突入します。


みなさんは、ここまでパロディをいくつ、わかりましたか?

「南総里見八犬伝」や「宮本武蔵」はもちろん、著名な伝奇小説のタイトルのいくつかが入っています。

また、ここまで「邪馬台国」まで日本史は進みましたが、聖徳太子などが登場します。

ご期待を。

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